数回に分けて実施される歯石除去について
歯科治療の多くは1度の施術で治療が完了することはなく、数回に分けて治療が進められるケースも少なくありません。歯石除去も例外ではなく、数回に分けた治療が望まれます。患者様から「なぜ数回に分けて歯石除去を行うのか」と、ご質問いただくこともあります。
「回数を増やせば売り上げもあがるのではないか」とのお声も聞こえてきますが、そのような事実は一切なく、保険診療で行う歯石除去には時間や回数を費やしても、余分に利益が発生するようなことはありません。
忙しい現代社会においては「時短」や「効率」を重視したいと考えるのも無理はありませんが、お口の健康を維持していくためには、時間と回数を費やして予防・メンテナンスの一環として、歯石除去を行う必要があります。
なぜ歯石除去は1日では終わらないの?
お口の汚れとして、歯の表面に蓄積するプラークが石灰化したものが歯石の正体です。プラークには数えきれないほど、虫歯菌や歯周病菌などの菌が潜んでいます。歯石自体は無機質のため害はないですが、歯石はさらなるプラークを呼び寄せてしまうため、歯石除去を行わず放置してしまうと、虫歯や歯周病を引き起こしてしまうリスクが高まります。
歯石はお口の健康を脅かすものであり、未然に防いでいくためにも、当院ではエビデンスに基づいたガイドラインに従って歯石除去を行っています。
また、歯石除去を含む歯のクリーニングを保険診療外で行うことも可能でありますが、保険診療で歯石除去を実施する場合は、定められた治療の工程を踏んでいかなければなりません。
歯石除去までの基本的な流れ
- レントゲン撮影
- 歯周ポケット検査
- 虫歯検査
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歯石除去
- 歯肉縁上の歯石を除去
- 数週間後に再検査・診断
- 歯肉縁下の歯石を除去
歯肉縁下に歯石が認められた場合は、右上、左上、右下、左下と4ブロックに分けて、1回の受診で1ブロックずつ歯石除去を行います(4回で除去しきれない場合は、さらに歯石除去を行うケースもあります)。
また、同時にブラッシング指導を行います。
歯石除去を1度で終えたい場合は?
稀に、「30分ですべての歯石を取り除いてもらえた」と体験談をおうかがいすることもありますが、目に見えない部分(歯肉縁下)に歯石は隠れているゆえに、実際には取り残しがあることも多いです。
「これまで歯石除去をしたことがない」、「1年以上歯石除去を行っていない」などの場合は、一旦時間をかけて徹底的に歯石除去していくことを推奨しております。そうすることで以降は、3~4ヶ月に1度のペースで歯石除去を含むクリーニング(1時間程度)を受けるだけで、虫歯や歯周病を予防できるようになります。
患者様の負担に配慮した歯周病予防プログラム
当院では患者様のご負担に配慮したいとの思いから、独自のプログラムを構築してきました。
初めて当院を受診される場合は、レントゲン撮影やブラッシング指導などをさせていただく必要がありますが、お口の健康を維持するためには欠かせないものと考えております。
また、患者様の負担を考慮したいと考えたプログラムであっても、4~6回ほどに分けてスケーリングをお受けしていただきますが、時間をかけて歯石除去を行うことで、その後のケアは負担を抑えることが可能となります。
当院では、ご自身の歯に勝ることはないとの考えから、歯石除去を含む、予防・メンテナンスに注力しております。生涯に渡り健康な歯を維持できるようにサポートいたします。お気軽にご相談ください。