歯を失った場合の治療法
歯を失った場合、入れ歯をはじめ、インプラント、ブリッジなど、複数の治療法があります。どの治療法を選ぶか、お悩みの方が多いと思いますが、当院が考える総義歯のメリット・デメリットをご紹介します。
治療法を選択される際のご参考にして下さい。
総義歯のメリット
外科処置をしない
欠損部の治療で、近年増えているのがインプラントです。しかし、インプラントの場合には、外科処置が必要なために不安を感じて、敬遠される方が大勢いらっしゃいます。
また、多くの歯科医師がインプラント治療を始めていますが、中には経験が乏しい医師もいるのが現状です。
患者様からは判断が難しいため、外科処置は不安があるという方も多いようです。
そのような方には、外科処置が必要ない「入れ歯」をおすすめします。
お口のお手入れがしやすい
入れ歯はブリッジとは違い、ご自分で取り外しが可能です。
ブリッジの場合には自分で取って、手入れをすることができないので、歯の隙間に汚れが残って、虫歯になってしまうことが多いのですが、入れ歯であれば簡単にお手入れができるので、残っている歯を守りやすいというメリットがあります。
修理での対応が可能
ブリッジの場合、支えにしている歯が抜けてしまった場合には、再度最初から治療を行わなくてはいけません。そのため、種類によっては再び高額な費用がかかってしまいます。
また、インプラントの場合も、他の歯が抜けてしまった場合には、1本目と同じ費用を、追加する本数分の費用の負担が必要です。そのため、非常に高額になってしまい、本数によっては数十万~数百万円もかかることがあります。
入れ歯は、歯を失ってしまっても、修理での対応が可能です。ですので、今後のお口の状態がどのようになっても、比較的安価に、手間もかからずに対応することができます。
当院の入れ歯治療について
当院では、大阪府の諏訪兼二先生が提唱した入れ歯理論に基づいた「ピタッとくっついて快適な入れ歯」を提供しています。
- 口を開けても落ちない。
- 噛んで痛くない。
これは良い入れ歯の条件です。
義歯安定剤を使わず、ピタッと口から落ちない入れ歯は気持が良いものです。 また、噛んでも痛くなければ、安心して美味しく食事ができます。美味しく食べて健康に!
総入れ歯がピタッとして、口から落ちないのは、口腔粘膜と入れ歯の間で生じる唾液の表面張力によるものです。あたかも水のついたコースターがコップについて持ち上がるのと同じ原理です。
入れ歯が粘膜にピタッとくっつくためには、入れ歯と粘膜の間に強力な唾液の表面張力が必要です。 その為には、入れ歯と粘膜の隙間を限りなく少なくすることです。
安定した入れ歯は1kgの金の延べ棒をぶら下げても落ちることはありません。その為に、粘膜の形を変形すること無く、正確に型どりする事が必要です。また、噛んで痛くない入れ歯に必要な要素は咬合です。
ヒトには習慣的に噛む位置、習慣性咬合位と、顎関節の顆頭安定位で咬合する中心咬合位とがあります。総ての人工歯が均等にあたるような咬合する事により、噛んだときの痛みは無くなります。
多くの歯科医師が「総入れ歯は難しい」という理由は、総入れ歯は柔らかい組織にくっつける必要があるからかもしれません。また、人工の歯を並べるときに参考にする天然の歯もないことから、部分入れ歯とも異なってきます。
診断のポイント
診断のポイントは、骨の量と粘膜の状態をみることです。粘膜にフラビーガム(上顎前歯部に多発する、顎堤がこんにゃく状になる)があるかどうか、粘膜を指で押さえて痛みがあるかどうか、昔の入れ歯の大きさ、噛み方、骨の形態などもよく観察します。フラビーガムや痛みがある部分は、噛んでも圧力がかからないようにします。
良い入れ歯を作るために・・・型どり(印象)作業
総入れ歯の良い・悪いをきめるためにもっとも重要な作業が下記の2点のチェックです。
1. 維持力のチェック

維持力とは、入れ歯が外れにくいかどうかです。
維持力は、総入れ歯の貼り付ける面と、あなたの口の粘膜の間に存在する唾液の表面張力によるものです。
表面張力を最大にするためには
- 粘膜と総入れ歯の床面の間を最小にすること
- 総入れ歯の床面を最大にすること
が大切です。
総入れ歯が落ちるのは口を開けたときなので、 開口時の粘膜をそのままの状態で変形することなく型採り(印象)ができればいいのです。
そのためには、
- フローのよい型採り材(印象材)を使う
- 型採り材(印象材)を外すときにトレーに力をかけて、変形させないようにする
という注意を払います。
2. 支持力のチェック

支持力とは、噛むときにかかる圧力のことです。
基本的に、支持力は総義歯の床面全体で受けることが好ましいです。
フローのよい型採り材(印象材)で作られた模型で、そのまま総入れ歯を作成すると、粘膜の状態により、噛むときの圧力を受ける強さが部位によって異なってしまいます。
全ての面に均等に圧力をかけるために、無圧印象で得た模型上で数ミリの厚みの透明なトレー (クリアトレー)をつくります。そのトレーを口腔内に 入れ、強く押し付け、貧血帯を診ます。
貧血帯が半分以上の面積を占める場合は問題ありませんが、半分以下の場合にはその部分を削り、削った部分にワックス(イソコンパウンドという)を入れ、再び粘膜に強く押し付けます。
この操作を繰り返すことにより、噛む力を面全体で均等に受けることができる総入れ歯を作ることができます。
良い総入れ歯を作るために・・・噛み合わせ
総入れ歯において、型採り(印象)作業と双璧をなして大事なのが噛み合わせです。総入れ歯は、上下の人工歯が均等に接触していることが大切です。
患者のほとんどが、総入れ歯になるまで部分入れ歯を入れており、その期間は残っている歯を中心に噛む傾向があり、総入れ歯になってもその習慣がとれない場合が多いです。
上顎と下顎が安定した位置での噛み合わせを実現するためのポイントとして、以下の3点があげられます。
1. 咬合平面を平行にする

咬合平面板を用いて患者さんの咬合平面を決めます。上の金属線と下の金属板が平行になるようにします。

左の写真の様に平行でない義歯は、噛んだときに義歯が左右に動くモーメントが働きます。
2. 諏訪式V.H.D.プレートを使用する
お年寄りの総入れ歯患者の場合、ロウ義歯で咬合採得をする際、食べ物が口の中に入っていると脳が感じ取り、片面で咬合することが多くなります。
V.H.D.プレートは上顎ロウ堤の咬合面に馬蹄形の金属を貼り、下顎ロウ堤の咬合面に蒲鉾状の金属を貼り付けます。この状態で咬合採得すると、金属面と金属面が接触するため、脳は歯と歯が接触していると感じ、比較的中心位で咬合採得することができます。
また、下顎を蒲鉾状にしているため、上下の接触が線接触になります。そのため、左右の移動も自由にでき、この状態で下顎ロウ堤を軟化して咬合採得すると、垂直面も水平面も正確に咬合採得ができます。


3. KEN Articulatorを使用する

50年前のスエーデンの学者ポステルトが唱えた開口軌跡、スウェーディシュバナナ(ヒトの顎は閉口より開口25mmまでは顆頭中心の回転運動をする)の理論を用いると、開口軌跡を知るためには厚みの異なる3種類のパラフィンワックスで咬合採得をするとよいことになります。
咬合器上でそれらのバイトワックスが2つ以上その咬合器に入ったならば、咬合器上の顆頭球は顆頭安定位にあることになり、その位置での咬合は理想的な咬合と言えます。
このような方法で、当医院では、義歯安定剤を使わず、ピタッと口から落ちない入れ歯をつくります。
治療費について
レジン
費用:40万円~
コバルトクロムプレート
保険の入れ歯と比較し、およそ半分の薄さで、耐久性に優れております。
温度が感じられ、レジンのものと比較し快適な食事、装着感が期待できます。
費用:50万円〜
チタンプレート
生体親和性のある金属でアレルギーの心配が非常に少ないです。
温度が感じられ、レジンのものと比較し快適な食事、装着感が期待できます。
費用:60万円〜
総入れ歯に関するカウンセリングを無料で行っています
- 快適に食事をしたい!
- 歯を取り戻したいがインプラントのような外科処置に抵抗がある
- 保険の入れ歯だと、合わなくて辛い
など、お悩みの方は、是非当院にご相談ください。